炭酸ガスレーザー治療とは
炭酸ガスレーザー（CO2レーザー）は、波長10600nmのレーザー治療機器です。皮膚の水分に選択的に吸収されるという性質を生かし、ほくろ・イボ・脂漏性角化症・脾粒腫などの隆起を伴う症状に効果を発揮します。
皮膚のできものを取る場合、手術という手段を選択することも可能ですが、できものの性状、部位によってはCO2レーザーを使用した方が簡単に除去できる場合が多くあります。CO2レーザーは周囲の皮膚にダメージを与えにくく、メスを使う治療よりも傷跡が目立ちにくく回復が早いのが特徴です。
CO2レーザーは基本的に体中どこの部位にも使用することができます。隆起している病変の除去のみならず、最小限のお肌のダメージでお肌の再生を促していくことも可能です。皆様の身近なお悩みに是非CO2レーザーによる治療をお役立てください。
このようなお悩みはありませんか
- 傷あとの少ないほくろの除去をしたい
- イボが最近増えてきたので除去したい
- 加齢に伴い顔に茶色いイボのようなものができてきた
- 目の周りに黄色いできものがある
- 白いプツプツとした小さな盛り上がりが増えてきた
- ニキビ跡、毛穴の改善をしたい
CO2レーザーの仕組み
CO2レーザーが照射されると、組織内の水分に吸収され高い熱エネルギーとなり、それにより皮膚が蒸散し、ターゲットを除去することができます。また周囲組織が熱により凝固するため、出血を起こしにくいという点もメリットです。
例えば、鼻にできたほくろなどは、切除・縫合による治療を行うと、皮膚の緊張や解剖学的な形状の特徴から、術後の縫合線が目立ちやすくなります。その点CO2レーザーを使用すると、組織を徐々に削っていく方法を用いるため、自然な仕上がりで除去することが可能です。
当院のCO2レーザーが選ばれる理由
- スキャナー搭載CO2レーザーの「AcuPulse」を使用します
- 正確でムラのない照射ができ、さらに処理が速いため治療時間を短縮できます
- 炭化が少ないため治療中の状態が確認しやすく、傷が早くきれいに治りやすいです
AcuPulse（アキュパルス）
当院ではCO2レーザー治療器として、ルミナス社の最新機器「AcuPulse（アキュパルス）」を導入しています。
アキュパルスには従来のCO2レーザーにはなかったスキャナ機能が搭載されており、コンピューター制御によってあらかじめ設定された大きさや形状に均一に削ることができるため、より綺麗な仕上がりを目指すことが可能です。
アキュパルスの特徴
フォーカスビームによる蒸散
従来のCO2レーザーはフリーハンドにて調整しながら削っていく必要がありましたが、スキャナ機能が搭載されたアキュパルスはフォーカスビームによる蒸散を行うことで、均一かつ副作用の少ない照射が可能です。
また、組織が蒸散される過程で創表面が黒くなる「炭化」という現象も起こりにくく、従来機種と比べて炎症反応や色素沈着のリスクが大幅に低下しており、ダウンタイムの比較的少ない治療が目指せます。
シルクタッチモード
スポット径3-6mm、ダブルスキャンで中程度の面蒸散に
フェザータッチモード
スポット径3～7mm、シングルスキャンで浅い面蒸散に
ファインタッチモード
スポット径0.6～1.5mm、小スポットの深い蒸散に
フラクショナルモード搭載で
毛穴や肌質、傷痕の改善も可能
アキュパルスは通常のCO2レーザー（スポット）だけでなく、3つの「フラクショナルモード」を皮膚の悩みに合わせて選択することで、ニキビ跡・きずあと・毛穴・小じわ・毛孔性苔癬などの多くの症状に対応します。通常のCO2レーザーによる施術が「面」による照射であるのに対し、フラクショナルモードでは「点」でレーザーで皮膚に微細な穴をあけ、それらの穴の修復力を利用し皮膚の再生や若返りを図ります。
フラクショナルモードで全体的に照射すると、1回の施術で約10～15％の皮膚が入れ替わると言われています。これまでの炭酸ガスフラクショナルレーザーに比べ、より細かく深くまで皮膚に穴をあけることができるため、これまで改善が難しかったニキビ瘢痕や毛穴の悩みの改善が期待できます。赤みや色素沈着のリスクを抑えつつ症状に応じた調整も可能で、仕上がりも自然です。
ディープモード
直径0.12mmと非常に微細なスポット径で皮膚に穴を開けるよう深く削ります。
スーパーフィシャルモード
直径1.3mmと小さなスポット径で浅く広範囲に肌表面を削ります。
コンボモード
ディープモードとスーパーフィシャルモードを2通りの剥削法を1回の照射で同時に行うことができます。
吸煙のリスクにも配慮
CO2レーザーを照射すると、組織に含まれるタンパク質や脂質などが燃焼・蒸発し、煙が発生します。この煙には人体に有害な物質が含まれる場合があるため、吸い込むと健康被害につながるリスクがあります。
アキュパルスは専用の吸煙機をハンドピース先端に接続することで、照射と吸煙を同時に行うことが可能です。有害物質を空中にとどめることなく、室内の空気を常に清潔に保ち、より安全な治療を実現します。
アキュパルスの主な適応疾患
切開・蒸散
- 色素性母斑（ほくろ）
- 脂漏性角化症
- 尋常性疣贅（イボ）
- 汗管腫
- 軟線維腫（イボ）
- 稗粒腫
- 眼瞼黄色腫
フラクショナル
- ニキビ跡
- きずあと
- 毛穴
- 小じわ
- 毛孔性苔癬
アキュパルスの症例
●イボ、稗粒腫の除去（CO2レーザー1回照射）
まぶたの際のできものの場合、切除・縫合を行うと抜糸が必要になり、患者様の負担になりやすい傾向がありますが、CO2レーザーは出血がないため、比較的受けて頂きやすい治療と言えます。この症例ではまぶたの際のイボ以外に、下眼瞼から頬にかけて存在するいくつかの稗粒腫を合わせて処置しています。
施術前：眼瞼縁（まぶたのきわ）にイボができており、その下方の下眼瞼には脾粒腫（毛穴の詰まりから生じるプツッとしたできもの）が複数存在しています。
施術後：まぶたのきわに出現し、視界に入って邪魔だったイボがスッキリ除去されました。脾粒腫もCO2レーザーで処置することにより、出血も痛みも少なく治療することが可能です。大きめの脾粒腫では中に詰まっていな内容物がしっかり確認できるかと思います。
●ホクロの除去（CO2レーザー1回照射）
3つ並んだホクロに対して、局所麻酔を使用し、除去を行いました。ホクロは比較的深部まで色素がある病変で、特に隆起が強いものや色調の濃いものは深いことが多いです。
通常若干陥凹するところまで処置を行いますが、その時点で深部に色素が残存している場合は、無理をせず数か月後に色素が表在化した段階で2回目の処置を行います。
しっかり深く削ったケースの方が赤みは長く続く傾向にあります。
施術の詳細
| 炭酸ガス（CO2）スポット | 炭酸ガス（CO2）フラクショナル | |
|---|---|---|
| 施術時間 | 1か所あたり5分～10分 （大きさにより前後します） | 麻酔30分＋施術30分 （範囲により前後します） |
| 治療間隔 | ホクロ再処置の場合は2か月間は空けてください | 1か月に1回程度 |
| 副作用 | 瘢痕、陥凹など | 色素沈着、水疱形成、熱傷、瘢痕、陥凹など |
| ダウンタイム | 治療部位はびらん状態になり、約1週間のテープ保護もしくは軟膏処置が必要になります | 治療部位には細かいざらざらとしたカサブタができ、1週間程度（体の場合は2週間前後）で消失します |
| 治療後のメイク | 上皮化（周りから皮膚が張って乾いた状態）していれば、メイク可能 | 翌日から可能です |
麻酔について
CO2レーザーの処置には痛みを伴いますので、通常ほくろのような深くまである病変については局所麻酔を使用させて頂きます。局所麻酔の痛みはありますが、麻酔が効いてしまえば無痛で処置を行うことが可能です。イボや脂漏性角化症のような浅めの病変については、冷却をして痛みの様子を見ながら処置を致します。
フラクショナルモードにおいてもやはり痛みは感じやすい施術になりますので、通常表面塗布麻酔を使用して治療を行っていきます。
ダウンタイムについて
CO2レーザーによる治療は基本的に出血を伴わないため、治療後の入浴や運動などには影響はありません。ただし、処置部は真皮が露出した状態となりますので、上皮化（周りから皮膚が張って乾いた状態になること）するまでは、湿潤環境を維持しながらの保護が必要となります。
部位にもよりますが、通常1-2週間以内に上皮化してきます。上皮化後もしばらく赤みや色素沈着が生じますが、時間の経過とともに落ち着いていきます。赤くなりやすいかどうかなどは個人差がかなりありますので、お顔の目立つ場所については、ダウンタイム（治療後の回復時間）が生じても許される時期を選んで頂く必要があります。
再治療について
ほくろなどの深い病変の場合、1回で治療が完結しないことがあります。手術の場合は皮膚全層で切除しますので、基本1回で取り切れますが、CO2レーザーで削りすぎてしまうと陥凹した傷を残してしまうため、深部に残存した病変については、再度表面に上がってくるタイミングを見て再治療するようにしています。
施術の流れ
①診察・カウンセリング
施術前に、医師が肌の状態やお悩みを診察します。
施術に関する注意事項やアフターケアについても詳しく説明しますので、ご不明な点や不安があれば、どうぞお気軽にご質問ください。
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②ふき取りまたは洗顔
スポット治療の場合は部分的なふき取り、フラクショナル治療の場合は洗顔をしていただき、メイクや汚れを落とします。
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③麻酔
病変に応じて麻酔を使用します。浅めの病変で基本的に麻酔が不要だと思われる場合は、局所冷却を行いながら処置をします。
- 病変により注射・麻酔クリーム等を選びます。
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④照射
治療部位に合わせて適切なモードを選択し、アキュパルスを照射していきます。お痛みがある場合はお知らせください。
照射後のメイクについて
処置部位は表層が乾けばメイクが可能となります。処置以外の部位は直後からメイクが可能です。
そのほか、施術に関する内容はよくあるご質問をご覧ください。
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⑤軟膏塗布・被覆
治療部分は軟膏、または創傷被覆剤による保護を致します。
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⑥施術完了＆アフターケア
以上で施術は完了です。
施術後に気になる点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
施術を受けられない方
以下に該当する方は施術をお受けできませんので、あらかじめご了承ください。
- 麻酔薬に対してアレルギー体質の方
- 重症な心臓疾患、出血性疾患、糖尿病の方、悪性腫瘍のある方
- ケロイド体質の方、妊娠中の方
- 治療希望部位に未治療の感染症および炎症がある方
- 治療部位にアートメイクをしている方
よくあるご質問
傷あとは残りますか？
ほくろのような比較的深さがある病変に関しては、最終的によく見ればわかる程度の傷あととなります。
イボ、脂漏性角化症、スキンタッグのような浅い病変に関しては、表皮のみを削るため、傷あとはほぼ残りません。
痛みはありますか？
深めの病変の処置の際には、注射による局所麻酔を使用いたします。お注射の痛みはありますが、その後は痛みはありません。
浅い病変については冷却しながらの処置となりますので、若干の痛みを伴いますが、お辛い場合はお知らせください。