切り傷




切り傷、擦り傷の治療について

ご来院前の応急処置

  • 傷を良く洗う

受傷直後は異物や細菌を取り除くために流水で洗うことが最も重要です。血液や分泌物が固まると異物が落ちにくくなってしまいます。はじめは出血が伴いますが、水道水、せっけんやボディーソープを使用して患部をしっかり洗いましょう。

  • 消毒液は使用しない

現代では切り傷時に消毒をすることは推奨されていません。オロナインなど消毒が含まれているような薬も不要です。消毒をすることで殺菌効果は得られますが、治癒に必要な細胞や組織を傷つけてしまいます。傷口からでてくる浸出液には細胞成長因子が含まれており、傷の治癒において大変重要なものです。消毒はせずに流水や泡立てたせっけんを使用し患部を清潔に保ちましょう。

  • 圧迫止血をする

患部を直接、清潔なガーゼ等で約10分間圧迫します。指の根本を縛るなどの方法は、循環障害を引き起こす原因になりますので避けて下さい。

  • 傷口を保護する

異物や細菌の侵入を防ぐため、絆創膏や清潔なガーゼで傷口を保護した状態でご来院下さい。

クリニックで行う創傷治療

傷や傷跡を熟知した形成外科医により、患部の皮膚や組織、神経の損傷具合を確認し適切な処置をご提案致します。けがは縫合できる時間が決まっており、(顔や頭:24時間、身体:12時間)
受傷後から時間が経過している場合は感染の観点や皮膚の状態から縫合ができないことがありますので、受傷後はお早めの受診をお勧め致します。

切り傷(切創)

浅い傷の場合は洗浄、塗り薬、傷の保護の処置を行います。
傷が深く縫合が必要な際は患部に麻酔の注射をして縫合します。(縫合糸は1~2週間で抜糸)
傷状態によってはテープで固定することもあります。

擦り傷(擦過傷)

患部に異物が残っている場合は、ピンセット等を使用し除去する必要があります。患部を清潔にした後、塗り薬を塗布します。

挫創・挫滅創

強い力によって皮膚をぶつけた際にできる傷。切り傷より皮膚が汚染されていたり、範囲が広いものが多いです。挫創より重度になると挫滅創と呼び、さらに経過が長くなります。
傷の程度によっては治癒まで時間ががかり、傷んだ組織の除去や縫合が必要になります。

咬み傷(咬傷)

猫・犬・など動物による噛み傷です。
口腔内は細菌が多く、見た目の小ささよりも派手に感染を起こす場合が多く非常に注意が必要です。
患部の洗浄と抗生物質の投与、場合によっては破傷風トキソイドの投与が適応になります。

浅い傷であり、自宅で経過を見る場合

処置の方法

  1. 受傷後に流水やせっけんで洗い、止血が済んだら市販のキズパッド(ハイドロコイド製剤)などで保護をします。
  2. 傷から出る浸出液とパッドで患部の湿潤環境を保つことで傷の自然治癒が進みます。
  3. パッドの中は浸出液で膨らんで漏れそうになったらパッドをはがして1の処置をします。
    ※キズパッドがない場合、ゲンタシン軟膏など抗生物質の軟膏があれば、患部が乾燥しないようにゲンタシンをたっぷりのせて絆創膏やガーゼで覆う方法でも良いです。ゲンタシンがなければワセリンでも可。
    ※患部を乾燥させないことがとても重要です。(細胞が移動したり増殖しにくくなってしまうため)

入浴時の注意点

疼痛の状況にもよりますが、基本的にキズパッドを貼ったまま入浴が可能です。
(痛い時は無理をしない、皮膚が浸軟しない程度に)
また、キズパッドの中が浸出液でいっぱいな状態でしたらパッドを剥がしてせっけんで洗った後、再度パッドで保護をしましょう。

こんな時は受診しましょう

  • 感染兆候がある(強い腫れ、痛み、熱感、化膿)
  • 持病がある(創傷治癒しにくい方、感染を起こしやすい方は注意が必要です)
  • 異物が残っている
  • 傷が深い(縫合により綺麗に治癒する必要があるため)