イソトレチノイン

繰り返すニキビにイソトレチノイン

イソトレチノインは、ビタミンAの誘導体の一種であるレチノイドを主成分とした内服薬です。皮脂腺に直接働きかける作用を持つため、難治性のニキビ・繰り返しできるニキビといった”しつこいニキビ”に対して高い適性を持ちます。日本では未承認の医薬品となりますが、欧米では「ニキビに対する特効薬」として古くから治療実績のある薬剤です。これまで色々と治療を試したけれど、いまいち効果が感じられなかった方は、是非当院へご相談ください。

治りにくいニキビの特徴

ニキビの原因は、新陳代謝の乱れや食生活・ホルモンの乱れ、ストレスなど様々ありますが、その一つとして、皮脂腺の肥大化があげられます。

皮脂腺は毛穴の横から皮脂を分泌する組織で、正常な働きの範囲では皮膚を保湿させ健康的な肌を維持する役割を担いますが、環境が乱れることなどで過剰分泌が起こると、毛穴が詰まりニキビを発生させるアクネ菌が増殖していきます。

アクネ菌によって炎症・化膿が進んでいくことで炎症性ニキビとなりますが、難治性のケースでは、ニキビの浸食は衰えることなく隣接する皮脂腺も巻き込みながら大きくなっていきます。規模が大きくなることで皮膚ダメージも必然的に大きくなり、しこり状になったり、しまいにはニキビ跡を生じたりすることもあります。

イソトレチノインの治療効果・仕組み

  • 皮脂分泌の抑制
    イソトレチノインを服用することで、皮脂腺が小さくなります。これにより皮脂の分泌を抑えアクネ菌の増殖を防ぎ、ニキビの発生を抑制します。毛穴の開きや黒ずみの改善にも繋がります。
  • 毛穴詰まりの改善
    毛穴の角化異常を正常化させ、皮脂がスムーズに排出されるようにすることで、ニキビのもとであるコメドの形成を防ぎます。
  • 抗炎症作用
    炎症を引き起こす物質を抑えたり、免疫バランスを調整したりすることで、赤ニキビや膿を伴うニキビの炎症を鎮めます。
  • ニキビができにくい肌質への改善
    数ヶ月間の服用を終了した後も、ニキビができにくい肌質へと改善する効果が期待できます。

一般的な面皰改善薬との違い

標準的なニキビ治療で用いられることが多い薬に、ディフェリンゲル(主成分:アダパレン)があります。このアダパレンもレチノイド様作用を示しますが、厳密には違う成分で、下記のような違いがあります。

治療内容ディフェリンゲル(アダパレン)イソトレチノイン
剤形外用薬内服薬
作用機序毛穴詰まりの改善、角化の正常化、軽度の抗炎症作用強力な皮脂分泌抑制、皮脂腺縮小、抗炎症・抗菌作用
適用症状軽度~中等度ニキビ、特に初期ニキビ、予防重症・難治性ニキビ、他の治療で効果がないニキビ
効果の強さ穏やか非常に強力
副作用皮膚の乾燥、赤み、ヒリヒリ感、皮むけなど(局所的)全身の乾燥、肝機能障害、催奇形性、精神症状など(全身性)
保険適応ありなし
安全性比較的安全性が高い副作用のリスクが高く、厳重な管理が必要

治療の進め方

最初からイソトレチノインの治療を希望する場合、問診でこれまで利用してきた治療内容を伺いますので、お薬手帳をご持参頂くか、使用したことのあるお薬をメモして頂けるとスムーズです。

診察後にイソトレチノインの治療を行うことが適応されると判断されれば、血液検査を行います。その後は3か月に一度定期的な採血フォローを致します。服用後に体調の異変を感じるようであればすぐに受診してください。
※女性は月経開始から2、3日後に内服してください。

症状の改善は比較的早期に実感できることが多いですが顕著な効果を得るには4ヶ月~6ヶ月間継続していただくことを推奨しています。また再発予防として通算の服用量が「体重÷120mg」以上になると効果的、という積算量計算も参考にします。
※1日20mg服用の場合、体重50㎏のケースでは300日間。約6ヶ月の治療期間でも数年の改善効果が想定されています。

イソトレチノインの副作用や注意点

多くみられる症状

  • 唇や肌の乾燥
    服用時はリップや保湿クリームでケアしてください。希望があれば保湿剤も処方いたします。日光に敏感になるケースもあるので日焼け止めも利用してください。

稀に見られる症状

  • 目の異常(ドライアイ・結膜炎・視力異常など)
  • 鼻血(鼻粘膜の乾燥による)
  • 痛み(頭痛・筋肉痛・節々が痛むなど)
  • 吐き気・下痢・嘔吐
  • 光線過敏
  • 脱毛
  • 息切れ・胸の圧迫感
  • 肝機能・脂質異常
  • 身長の発育不良(高容量用いた場合)
  • 発疹、湿疹、薬疹など
  • うつ症状の悪化

利用出来ない方、必ず避ける禁忌行為

※当院では基本18歳以上の方を対象とさせて頂いております。18歳未満の方は、保護者のご同意のもとに、慎重投与とさせて頂くケースがございます。

胎児への悪影響、催奇形性があります。妊活など妊娠する行為はしないでください。パートナーとの性行為に関しても避妊を必ずしてください。男性が治療する場合であっても同様です。服用中・服用終了後1ヶ月間守ってください。

  • 授乳中の方も利用できません
  • 12歳未満の方は利用できません
  • 成長期(12~18歳程度)で身長が止まることに抵抗がある方
  • 採血拒否などその他医師の指示に従っていただけない方
  • 肝臓や脂質の症状で既往歴のある方
  • うつ病などメンタル疾患のある方
  • ビタミンAでアレルギー反応が起きる方
  • 大豆アレルギーの方
  • メトトレキセートを服用中の方
  • テトラサイクリン系の抗生物質を服用中の方
    抗生物質を服用中で詳細がわからない場合はお薬手帳・実際のお薬をご持参ください。

イソトレチノインは未承認医薬品の自費診療です

イソトレチノインは医薬品医療機器等法上、 日本ではまだ承認されていないため自費診療となります。

■国内の承認薬品等の有無
国内にて承認されている同効の機器・医薬品等はありません。
■諸外国における安全性などに係る情報
日本の厚労省に相当する米国FDAや 欧州委員会(CEマーク) など複数の諸外国で承認されています。