ニキビ治療は長期戦です
当院を受診される患者様の中でも多いお悩みである「ニキビ」。思春期の男の子、女の子から、大人の方まで、本当に様々な程度で皆様悩まれております。ニキビは継続治療がとても大切な疾患のひとつですが、実は日本人でニキビ治療を受けられたことのある方のなかで、比較的長期にわたり治療を継続できている方は約1割しかいないと言われています。大体の方がニキビができた段階で、市販の外用薬や皮膚科で処方される抗生剤の外用薬を使用し、いったんは改善するのですが、結局ニキビができる根本的な原因が取り除けていない場合はまた再発してしまいます。

ニキビの原因
ニキビの原因は本当に多岐にわたり、一般的には脂性肌の方がなりやすいという認識がありますが、乾燥肌の方に生じるニキビもあります。例えば「思春期ニキビ」、「大人ニキビ」などと区別されることもありますが、これらも根本的な原因が違うと考えられております。思春期ニキビは、主に10代の思春期・成長期の方に生じ、ホルモンバランスの変化による皮脂分泌過多が原因で毛穴詰まりを起こし、アクネ菌の増殖により炎症を起こすことが多いです。部位としては額や鼻などTゾーンや、頬に良く見られます。一方で大人ニキビに関しては20代以降に、ストレスや不規則な生活リズム、乾燥、肌のターンオーバーの乱れなど様々な要因が影響しあって出現します。頬や顎のUゾーンに見られることが多いです。


ニキビのタイプ

ニキビは毛穴にできる病気です。健康な皮膚では、毛穴の毛包の付属器である皮脂腺から分泌された皮脂は、毛穴を通って外に排出されますが、何かしらの原因で毛穴が詰まってしまうと、ニキビの原因となっていきます。目に見えない毛穴の詰まり(マイクロコメド)から始まり、しっかり詰まりが見える白ニキビ、コメド、そして皮脂が大好物のアクネ菌が増えると炎症が起き赤ニキビとなり、周囲の組織にまで炎症が広がると黄ニキビとなり膿を持つようになります。炎症が治まった後も赤みが残ることがあり、陥凹や瘢痕を伴うニキビ跡となることもあります。
ニキビのトータルケア
当院では一般的な保険薬の処方から、お一人おひとりそれぞれのニキビの状態に合わせた自費施術や自費内服、コスメまで、トータルのご提案をさせて頂いております。外側、内側からの継続的な治療を行っていくことで、ニキビのできにくいお肌にしていくことが可能です。ニキビでお悩みの方は是非ご相談くださいませ。

ニキビの治療(毛穴詰まりの治療)
いろんなニキビの段階の中で、赤く炎症が生じると抗生剤の外用薬を使ったり、抗生剤の内服薬を飲んだりするのは皆様理解しやすいと思うのですが、「ニキビが出来たときだけ抗生剤を使う」を繰り返していると、耐性菌が増えるだけでなく、再発予防の効果や、ニキビ跡へのケアは不十分となってしまいます。ニキビのおおもとの原因である「毛穴詰まり」を取るためには、「面皰改善薬」と呼ばれる薬や、ピーリング効果のある製品を使っていく必要があります。
これら面皰改善薬には皮膚表面の角質を積極的に剥がしていく作用、およびアクネ菌などのニキビの原因菌を殺菌する作用があり、継続的に使用することでニキビが出来にくい肌にしていくことが可能です。角質を剥がす効果のために、使用開始時は赤みやヒリヒリ、皮むけを生じることがありますが、次第にお肌が慣れていくと症状が軽減してきます。

ニキビの治療(一歩踏み込んだニキビ治療)
ピーリング石鹸、ピーリング施術
抗生剤や面皰改善薬の使用をしっかりと継続していてもなお、なかなかニキビの再発が抑えられない場合は、ピーリング効果のある石鹸による洗顔や、サリチル酸マクロゴールによるピーリング施術をよく併用します。ピーリング石鹸は、ニキビの原因にもなる肌のターンオーバーの乱れに着目し、古い角質をしっかりと取り除き角質ケアをしてあげることが可能な石鹸です。サリチル酸マクロゴールピーリングは、毛穴の奥深くまで浸透し、詰まった角質や皮脂を溶かす効果のあるピーリング剤で、を定期的に取り入れることで毛穴詰まりに非常に効果的です。これらピーリング石鹸、ピーリング施術は、お薬を塗るのが少し大変なお体(背中、胸など)のニキビにも取り入れて頂きやすいものになります。

アゼライン酸
ニキビがちなお肌には「アゼライン酸」という成分を取り入れることも効果的です。アゼライン酸は穀類・酵母などに多く含まれる、天然物由来の飽和ジカルボン酸です。海外でメラニンの生成を抑える美白目的の塗り薬として開発がスタートしましたが、臨床試験中に偶然ニキビへの効果が認められました。そのためニキビや酒さに対しても、アゼライン酸を高濃度で配合した外用薬がよく用いられています。アゼライン酸はニキビのでき始めから悪化時、炎症性色素沈着や赤みを伴うニキビ跡に至るまでのあらゆる段階で効果が期待できます。

フォトフェイシャル®
また当院では、IPL(光治療)のひとつである、「フォトフェイシャル®」を積極的に行っておりますが、炎症性ニキビにも照射が可能な「アクネフィルター」のご用意があります。通常フォトフェイシャル®はニキビ跡の赤みや、ニキビ後の赤ら顔などに使用されますが、アクネフィルターを用いることで、アクネ菌の効果的な殺菌や、皮脂腺へ栄養を送る血管を遮断し皮脂の分泌を抑える効果が期待できます。

イソトレチノイン
海外ではニキビと特効薬として使用されている薬です。ビタミンA誘導体の一種で、皮脂腺自体を縮小させる働きがあります。他の治療法で効果が見られなかった重症ニキビや、繰り返す難治性のニキビに効果的で、皮脂の抑制効果も認められています。妊娠中の方や妊娠の可能性がある方にはお使い頂けないこと、特に12歳以下では骨の成長障害のリスクがあることから、成長期のお子様には使用頂けないこと(当院では18歳以上において使用と定めております)など一部制限はありますが、当院では適応をしっかりと選び、定期的に採血検査をしながら治療経過を見させて頂いております。

ニキビの治療(インナーケア)
多岐にわたるニキビの原因の中で、意外にも皆様忘れてしまいがちなのが、体調・体質的な要因です。外用薬を使用してもなかなか治らないという方は、内側からのケアを見直してあげましょう。特に女性は生理周期のなかで皮脂の分泌量が増える期間がありますので、生理周期に一致して増悪するケースでは、低用量ピルを併用したり、漢方薬を取り入れていくと落ち着くことが多いです。
「昔はニキビができても特に薬なしで治っていたけれど、最近はなかなか治らない。」
というお声もよく聞かれますが、若い時はお肌の新陳代謝も早く治りやすかったニキビが、加齢とともに代謝が落ち、さらに生活習慣の乱れやストレスが加わることによって治りにくくなっている状況が推測されます。
ニキビ治療に対する内側からのケア(インナーケア)として取り入れやすいのは、ビタミン剤の補充です。一般的に肌荒れに効くと認識されている、ビタミンB、ビタミンCについては下記のような効能があります。
ビタミン剤
ビタミンB
- 肌の新陳代謝を促進する作用
- 皮脂の分泌コントロール効果
- 疲労回復効果
- ストレスホルモンの分泌抑制
- 免疫力や抵抗力を高める効果
ビタミンC
- ニキビによる皮膚の黒ずみ(炎症後色素沈着)や赤みの予防(メラニン合成抑制作用から)
- 抗酸化作用
- 抗ストレスホルモンの生成
- 皮脂の分泌コントロール効果
- コラーゲン合成の原料となる
ビタミンA
ビタミンBとビタミンCは健康的なお肌の維持に不可欠なビタミンですが、加えてビタミンAも重要な役割を果たしてくれます。よく聞く「レチノール」という言葉、こちらはビタミンAの一種となります。正確にはビタミンAの中に、レチノール、レチナール、レチノイン酸(トレチノイン)が含まれております。レチノール配合の化粧品など各種販売されておりますが、ニキビに対してもレチノールは肌のターンオーバーを促し、毛穴詰まりを抑えていくことで、新たなニキビの発生を抑制させる効果が期待できます(※レチノイド反応(A反応)と言って、細胞の代謝を促進する過程で、一時的に肌の赤みや乾燥、皮むけ、かゆみが出現することがあります。通常は使用を継続することで、数週間程度で症状が落ち着きます)。ビタミンA(レチノール)の効果としては、
- 肌のターンオーバーの促進
- 皮脂分泌の正常化
- コラーゲン、ヒアルロン酸、グルサミノグリカンの生成
- 線維芽細胞の活性化によるエラスチンの質の向上
などが挙げられ、肌再生や肌老化防止の効果が期待できます。
レチノールは内服でも取り入れて頂くことが可能です。前述のようなレチノイド反応を気にすることなく、お肌のターンオーバーの促進や皮脂の分泌抑制効果を期待でき、当院でも積極的にニキビの患者様にお勧めしております。

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