形成外科・皮膚科
形成外科とは一言でいうと、からだの表面の問題に対して、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることを専門とする診療科です。
同じくからだ全体の皮膚を取り扱う皮膚科とは、お互いカバーし合う関係性といえます。
対応疾患
- 切り傷
- やけど
- できもの
- 傷あと
- ケロイド、肥厚性瘢痕
- ほくろ・イボ
- ニキビ
- 湿疹、皮膚炎
- 酒さ(赤ら顔)
- 足のトラブル
切り傷
切り傷(ケガ)について
鋭利なものによる傷、もしくはぶつけたことで皮膚が裂けてしまった状態など、まずは出血していれば圧迫止血を試みてください。
出血がいったん止まれば、焦る必要はありません。
腫れを伴う場合も、できるだけ創部を圧迫してください。
縫合が必要な傷かどうか不安な場合は、ご相談ください。
切り傷(ケガ)の処置・治療
傷に関しては、まずはよく洗浄することが大切となります。当然痛みを伴うことが一般的ですので、必要に応じて局所麻酔の注射をしてから処置を行います。
縫合が必要な場合は、感染を考慮して24時間以内に行うのが望ましいとされています。形成外科的手技により、できるだけ傷あとが目立ちにくい方法で縫合していきます。
傷をきれいに治すために、ご自宅での処置方法が大切となってきますので、詳しくお伝えさせていただきます。
やけど
やけどについて
やけど(熱傷)については、受傷時に重症度(深さ)が決定します。
浅いものからⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度と分類されます。
Ⅰ〜Ⅱ度浅達熱傷の場合、傷あとを残さず治癒しますが、それ以上のものは瘢痕として治癒します。
また、特にお子様の指のやけどなどは、瘢痕拘縮(傷が引きつれた状態)となりやすく、成長に影響することがありますので、早めの受診をおすすめいたします。
やけどしてしまったら
より重症度が増さないように、早めの冷却が大切となります。
受傷した原因もその後の治療に大切な要素ですので、問診にてお知らせください。
やけどの処置・治療
やけどは、受傷後1週間くらいまでは感染を併発することが心配となりますので、抗生剤を使用し、感染のコントロールを行いながら傷の処置をしていきます。
傷をきれいに治すために、ご自宅での処置方法が大切となってきますので、詳しくお伝えさせていただきます。
できもの
できものについて
皮膚や皮膚の下には、色々な種類のできもの(腫瘍)が生じます。
代表的なものには、粉瘤(アテローム)、脂肪腫、石灰化上皮種、線維腫などがありますが、実際に摘出したものを病理検査(顕微鏡レベルの組織検査)によって調べないと、腫瘍の種類まではわからないことも多いです。
“できもの”の処置・治療
からだの表層に存在する、ある程度のサイズの腫瘍については、当院にて局所麻酔下で切除が可能です。患者様のニーズに応えるべく、当日手術にも対応しております。
やや深めの部位に存在する腫瘍や、画像検査をおすすめする腫瘍、大きさのある腫瘍については、提携医療機関にて精査を行っていただくことをおすすめしております。
傷あと(自由診療)
傷あとについて
元々の傷がどのようなものであったかによって、傷あとは様々な形になります。
一般的に切り傷や、手術の後の傷は線状なものになりやすいですし、熱傷による傷は面状になりやすいです。
現在の医療技術では、傷あとを完全に消すことはできず、また傷あとに対する考えも人それぞれだと思いますので、患者様が傷あとに対して「どのように変化させたいか」をお伺いし、その状態に近づけるためのお手伝いをできれば幸いです。
傷あとのタイプ
成熟瘢痕と肥厚性瘢痕・ケロイドに分かれます。
ここでは成熟瘢痕(通常の創傷治癒過程を経て治った傷)についてご説明します。
傷あとの治療
成熟瘢痕として残存した傷あとは、基本その状態から変化しないため、見た目を改善させるためには手術療法やレーザー治療が必要となってきます。
線状の幅の広い傷あとについては、傷あとの部分を切除し再度丁寧に縫合し直すことで、傷の幅を狭めて目立たなくすることができる可能性があります。
面状の傷あとについては、CO2フラクショナルレーザーやダーマペンのぼかす効果により、見た目の改善が得られる可能性がありますし、程度や範囲によっては植皮術(他の部分の皮膚を移植する方法)を選択することもあります。
ケロイド、肥厚性瘢痕
ケロイド、肥厚性瘢痕について
傷が治る過程のことを創傷治癒過程とよびますが、これは止血・炎症期、増殖期、組織再構築期に分類されます。
この創傷治癒の組織再構築期において、皮膚構成要素であるコラーゲンの合成分解のバランスが崩れて、異常にコラーゲンが増殖した状態を、ケロイドまたは肥厚性瘢痕といいます。
コラーゲンの過剰な増殖により、傷あとは赤く、硬く盛り上がるようになります。
ケロイド、肥厚性瘢痕のタイプ
ケロイド
元来の傷の範囲を超えて、広がっていくもの。体質的な要素が大きい。
肥厚性瘢痕
元来の傷の範囲内で傷が硬く盛り上がるもの。
いずれも胸、肩、下腹部などにできやすい傾向にあります。
処置・治療
ケロイド、肥厚性瘢痕の原因ははっきりとは分かっていませんが、何かしらの炎症が関わっていると推測され、治療には炎症を抑えるためのステロイド剤が一般的に用いられます。
ステロイド剤の注射、ステロイド含有テープ剤などを使用して治療していきますが、それなりの期間が必要となります。
肥厚性瘢痕に対しては手術療法を行うこともありますが、ケロイドの場合は手術などの外的刺激によりさらに増悪させる可能性があるため、手術療法の場合は放射線照射併用の条件下で行うこととなります。
ほくろ・イボ
ほくろについて
ほくろは皮膚良性腫瘍の一種であり、基本的には経過を見ても問題ありません。
ただ、ごく稀に悪性化するタイプのものが存在するため、心配されて相談を受けることがあります。
特に顔にあるほくろや、隆起していて引っかかるタイプのほくろについては、除去を希望される方が多くいらっしゃいます。
ほくろは見た目以上に深部まで存在することが多く、レーザーの場合は炭酸ガスレーザーという削るタイプのものを使用します。
ほくろのタイプ
- 色素性母斑
- 母斑細胞母斑
- 青色母斑 など
ほくろの処置・治療
比較的小さめのほくろに対しては、まずは炭酸ガスレーザーでの除去をおすすめいたします。
当院では、炭酸ガスレーザーの中でも高機能機種であるAcuPulseを所持し、炭化を伴わない表層の蒸散ができる特徴を生かして、傷あとの極めて少ないほくろ治療を行うことが可能です。
ある程度の大きさのあるほくろ、盛り上がりのあるほくろに対しては、患者様とご相談のうえ、炭酸ガスレーザーによる治療、もしくは切除による治療をおすすめしております。
いずれもメリット、デメリットがあるため、ほくろの種類に応じて詳しくご説明させていただきます。
多くの場合、炭酸ガスレーザー(自費)によって治療ができます。
イボについて
イボにはウイルス性のものと、加齢性のものがあります。ウイルス性のイボは自身の体表で多発することがあり、また他の方へうつることもあるため、共用のタオルなどは避けた方がよろしいでしょう。
加齢性のイボは肌の老化現象の一貫として出るもので、特に他の方へうつることはありません。
イボのタイプ
- 尋常性疣贅(ウイルス性のイボ)
- 脂漏性角化症
イボの処置・治療
尋常性疣贅に対しては、複数回に渡って液体窒素による治療を行うことが一般的です。
ただし顔面、頚部の液体窒素治療は色素沈着のリスクが高いため、当院での液体窒素治療は四肢体幹のものに限ります。
顔面、頚部の尋常性疣贅に対しては、炭酸ガスレーザーによる治療が必要回数も少なく効果的です。
脂漏性角化症についても、炭酸ガスレーザー治療を行っております。
多くの場合、炭酸ガスレーザー(自費)によって治療ができます。
なお首から上のイボについては、炭酸ガスレーザーの治療しか行っておりません。
ニキビ
ニキビについて
我々の皮膚には、皮脂腺という皮脂を分泌する組織があります。
正常ならば、毛穴より外に分泌される皮脂が、皮膚表面の角質の肥厚などにより毛穴が詰まってしまうことで、白ニキビ(角栓、コメド)といった状態となり、さらに細菌感染を伴うと赤ニキビとなってきます。
ニキビはごくありふれた皮膚疾患ではありますが、医療機関を受診される方はそのごく一部であり、正しい治療を行っていかないとニキビ痕にもなり得ます。
ニキビのタイプ
- 目に見えないマイクロコメド
- 白ニキビ、コメド
- 赤ニキビ
- 黄ニキビ
- ニキビ痕
ニキビの処置・治療
以前はニキビの外用薬として抗生剤が一般的に使われておりましたが、最近では面胞改善薬を併用して治療していくことが多いです。
内服薬としてはビタミン剤や漢方薬が維持療法には有用で、炎症が強い際は抗生剤の内服も併用します。
様々な段階のニキビがありますので、程度により外用薬、内服薬を組み合わせて使用していきます。
また難治性のニキビに対しては、保険適応外の内服薬(欧米ではニキビの特効薬として一般的に使用されているお薬です)もおすすめしております。
湿疹、皮膚炎
湿疹、皮膚炎について
皮膚の表層に起こる炎症のことを総じて湿疹や皮膚炎と呼びます。誰もがよく経験する、皮膚の赤み、ブツブツ、痒みなどが一般的な症状で、原因も多岐にわたります。
内臓疾患より発生する湿疹、皮膚炎もあるため、一般的な治療法で改善しない場合は注意が必要です。
湿疹、皮膚炎のタイプ
- 急性湿疹
- 慢性湿疹
- じんま疹
- アトピー性皮膚炎
- 接触性皮膚炎
- 脂漏性皮膚炎
- 手湿疹
- 汗疹
- 皮脂欠乏性湿疹 など
湿疹、皮膚炎の処置・治療
湿疹は、外的要因(薬剤、化粧品、化学物質、アレルゲン、金属、日光、ゴムなどの締め付けなど)と、内的要因(アレルギー体質、アトピー素因、肌のバリア機能低下、皮脂や汗、内臓疾患など)が種々組み合わさって生じるため、ステロイド外用薬や、抗ヒスタミン薬などで炎症を抑えながらも、原因の除去、日々のスキンケアを取り入れてゆくことが大切です。
酒さ(赤ら顔)
酒さ(赤ら顔)について
酒さは慢性的な赤み、火照り、ヒリヒリ感、赤いポツポツを伴う皮膚疾患です。
赤みは毛細血管の拡張、過剰から生じ、元来赤ら顔がある方に起こりやすいとはいわれていますが、皮膚表面のダニ・常在菌による過剰反応との説や、自己免疫の異常や血管を司る神経の異常との説、またストレスやホルモンバランスも影響するといわれ、原因は多岐に渡ると考えられています。
酒さ(赤ら顔)の症状
下記のような病期分類がありますが、必ずしも徐々に進行するわけではなく、別病態として扱うのがいいでしょう。
1期
顔の紅斑、発赤、ヒリヒリ感が持続的または断続的に現れる。
2期
1期の症状に加え、赤いプツプツとしたニキビに似た丘疹が現れる。
3期
鼻の紅潮、腫脹、ニキビのようなしこりが生じる。鼻瘤とよばれることもある。
酒さ(赤ら顔)の処置・治療
赤いプツプツとしたニキビのような丘疹がある状態では、抗生剤の内服や外用が有効とされています。
軽度の酒さに対しては、ロゼックスゲル(主成分:メトロニダゾール)が最近保険適応となり、効果を示してくれています。
プツプツが少ない紅斑や発赤の状態に対しては、光治療IPLが有効です。
当院では新しい機器であるフォトフェイシャルのステラM22を用いて、赤みの原因となる毛細血管内のヘモグロビンにターゲットを当て、過剰な毛細血管を消退させる効果が期待されます。
足のトラブル
巻き爪、陥入爪について
爪の圧迫や脆弱性により、爪の端が内側に巻き込まれた状態をいいます。
合わない靴や、深爪が原因とされています。
爪が皮膚に食い込んで傷ができると局所の炎症、感染が起き、陥入爪の状態となります。
巻き爪、陥入爪の治療
炎症がある場合は抗生剤を使用し、まずは炎症を抑える必要があります。
陥入爪による過剰肉芽(爪の脇に反応性に盛り上がった組織)は時によって治療に時間がかかり痛みも伴うため、肉芽の焼灼や爪の抜去を行うこともあります。
炎症を伴わないものに対しては、正しい爪の切り方の指導や、衛生管理を行っていきます。
爪の形の矯正をご希望の方には、近くの連携院(五反田・大崎 巻き爪矯正専門店)をご紹介いたします。
魚の目・たこについて
歩き方の癖、靴の形状により、常に全体重がかかる足裏には様々なトラブルが起きやすいです。
慢性的に荷重がかかる部位の角質が肥厚してたこ(胼胝)になったり、より深部に角質の芯を生じるようになると魚の目(鶏眼)となります。
魚の目の方が芯がある分、痛みが生じやすいです。
魚の目・たこの治療
硬くなっている角質部分を取り除く治療を行います。
かなり硬い場合は、あらかじめスピール膏という角質をふやかすテープ材を使用し、軟化させてから処置を行うと痛みも少なく容易です。
ただしこれらの治療はあくまでも姑息療法となり、慢性的な荷重のかかり方が変わらない限りは再発しやすい病態です。